「ケースメソッド」とは、ケース教材(物語形式の事例)に書かれている内容をもとにディスカッション形式で進める研修・教育手法です。ケースメソッドの受講者は、当時者視点で思考することができるため、思考のみならず感情をも揺り動かす学習効果をもたらします。また、他の受講者の発言から、自分が思いもよらなかった視点に自発的に気づくこともできます。
海外出身社員への対応を含む「異文化マネジメント」には、「頭で理解はできるが、実践が難しい」ということが多くあります。そのため、この分野において、ケースメソッドはレクチャー(講義)よりも教育効果の高い手法であると考えられます。
日本企業で働く海外出身社員を題材としたケース教材が少ないことから、AITDでは教材開発に取り組んでいます。ぜひ、AITDが開発したケース教材を社内研修や大学授業などでご活用ください。
※ケースは日本ケースセンターに登録されています。ケースの入手(購入)は、日本ケースセンターのサイトでお手続きください。
執筆者: 小山 健太 (AITD代表理事、東京経済大学准教授、慶應義塾大学ビジネス・スクール ケースメソッド教授法研究普及室認定ケースメソッド・インストラクター)
ケース登録先: 日本ケースセンター(コンテンツID:CCJB-OTR-23010-01)
ボリューム: 4ページ
出版日: 2024/05
概要: 韓国出身のキムは、日本で働き始めて10年になる。日本企業X社と外資系企業Y社で勤務したあと、日本企業A社に中途入社で働き始めた。キムにとって、X社以来、久しぶりの日本企業での仕事になる。キムがA社で配属されたのは、社内研修を企画するチームだった。そのチームの構成は、日本人上司、日本人同僚2人、キムの4人であった。チーム内で分担作業で研修内容を作っていたのに、ある日、キムは自分の担当内容が、自分の知らないところで他のメンバーの手によって完成していたことに気づいた。キムは、「なぜこのことを私に言ってくれなかったのだろう?」と不信感を抱いたし、「私のことを“使えない”と思っているかもしれない」と不安にもなった。そこで、チームミーティングを開催して、キムは「自分に対してネガティブなフィードバックは隠さずに正直に伝えてほしい」と伝えたが、ミーティングの終盤で上司から「キムさんがもっと歩み寄ってくれれば良いのに」という発言もあり、キムが伝えたかったことは十分受け取ってもらえなかった。
設問(例):
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